霞ヶ浦導水事業 アユの聖域脅かす巨大トンネル1900億円のムダ!?

スーパーモーニング 10.1
玉川徹 ちょっと待った より

追跡1年 鮎の聖域脅かす巨大トンネル1900億円のムダ!?

公共事業はダムだけではない。
霞ヶ浦導水事業

すべては視聴者から届いた1通の手紙から始まった。

「玉川さん、国交省のムダここにもありました。
茨城県の霞ヶ浦の汚れを栃木県・群馬県のきれいな川の水を取り入れて湖をきれいにしようという工事が何年かにかけて行われています。

国交省のムダ、茨城県の身勝手な考えをぜひ調査してください。」

国交省が進めるその事業は総工費1900億円。文字通り大型公共事業だ。
去年10月導水事業の現場を訪ねた。

那珂川漁業協同組合 君島恭一組合長
「きれいですよ。我々はこのきれいな水を子や孫に残していこうと言う観点でやっております」

導水事業に反対する最大の理由は?
「汚い水が那珂川に入ってきて生態系が変わるんじゃないかとみんな心配してます」

栃木県と茨城県を貫くこの那珂川は水産資源が豊富な川として知られている。
アユの聖域といわれるほどの清流だ。
アユ漁獲量日本一

霞ヶ浦導水事業が計画されたのは、高度経済成長直後の1976年。

その目的とは
首都圏の人口増加を見込んだ新たな生活用水確保。
那珂川、利根川の融通。渇水時の水のやりとり。
水質悪化が問題視される、霞ヶ浦の浄化という一石三鳥のプロジェクトとされる。

そして、そのために霞ヶ裏、那珂川、利根川を巨大な地下トンネルで結び、相互に水を行き来させるという壮大な公共事業だ。
しかしこの公共事業のために那珂川のアユが絶滅の危機にさらされていると君島氏はいう。

君島氏:
「霞ヶ浦の水を持っていく取水口ができるとアユとその他の魚が吸い込まれていきます」

アユの稚魚は孵化すると川の流れに身を任せて海へと下っていく。
ところが取水口ができると下流へと下る稚魚が導水トンネルに吸い込まれてしまうという。

国交省の吸い込み対策
アユの稚魚が最も多く下流へと下る、夜間の取水を制限→吸い込む割合を1%未満に抑えられる。

しかし、アユの生態に詳しい専門家はこの説明に疑問を投げかける。

たかはし河川生物調査事務所 高橋勇夫所長
「国交省と同じデータで分析した結果、年によっては10%ほどの被害になる場合がある。事業が進めば、アユにとってよくなるってことはまず考えられないですね」

那珂川で盛んなのはアユ漁だけではない。
北国だけと思われがちなサケの遡上。毎年10月ごろになると那珂川でも数多く見られる。東京から2時間の場所にこれほど自然の豊かな場所が存在する。
昔ながらの自然が残されている那珂川。
本当に導水事業によって失われることはないのか?

問題はそれだけではない。
事業の目的そのものが達成されないと指摘する専門家がいる。

■水質は浄化されない!?
長年、霞が裏の水質を研究している茨城大学高村義親名誉教授はきれいになるどころか、かえって水質を悪化させる可能性を指摘する。
「導水事業はアオコの発生機会を増加させますから、那珂川の水を持ってくることは間違いだと思います。」

「35年水質の研究をしてきたが、
那珂川の水は大変、富栄養化している。窒素とリンが多いんですね。
流れる川だから那珂川はきれいな清流ですよ。湖に入ればただの湖水ですから、藻類、たとえばアオコと呼ばれる藻類の発生する機会が一層増加します。
2003年の兵庫県の一庫ダムの例ですけど霞ヶ浦もこういう例になります。」

さらに重大な問題 明らかに清流が有機物で汚濁される!

那珂川→霞ヶ浦 の一方通行ではなく、那珂川の水が少ないときは逆に霞ヶ浦の水を那珂川に送ることになる。那珂川の漁業、ひいては生態系に影響を与えかねないという。

さらに別の専門家は2つ目の目的に疑問を投げかける。

■水需要は増えない。
首都圏の人口増加に備えた新規都市用水の確保が目的の2つめ。

「水需要が伸びることはほとんどないと思います。むしろ減っていくと思います」

首都大学東京 川村明教授
「節水技術の向上や上水道普及率がほぼ100%に達している点をあげ、この先水需要が増える可能性は低い。今からいくら人口が集中するにしても長期的には人口は減少しますのでこの地区におきましては需要量そのものは減ってくると考えるのが妥当だと思います」

巨額の税金を投入するべきなのだろうか?

国交省へ
Q.那珂川の水を霞ヶ浦に持ってくることによって水がきれいになる?

国交省
霞ヶ浦導水工事事務所 佐伯良知事業対策官
「はい、霞ヶ浦のの水がきれいになるということです」

Q.専門家は、那珂川がきれいなのは流れているからで霞が裏に入るとアオコいわゆる植物プランクトンが今以上に発生する可能性が高いので意味はないと言っているが?

佐伯:
「霞ヶ浦に流れ込んでいる56本の川の窒素濃度を見てみると、明らかに那珂川よりも高い数値を示しています。だから霞ヶ浦に入ってくる水質の状況が那珂川から持ってくることによって変わる。窒素濃度が下がると結果的に湖水の窒素濃度もより下がる方向になると考えています」

Q.吸い込まれるアユの数はどれくらい?

佐伯:
「時期にもよるが1%未満。」

「那珂川の水産資源を保全しながら霞が裏の浄化にも寄与できる。
もうひとつの目的が那珂川と利根川の水の確保がありますけど、
3つの目的が成立するように運用を考えていくということだと思います。」

【問題点】
1.稚魚が吸い込まれる。アユは一年しか生きない。取水が続けば毎年減っていくことに。

2.浄化できるのか? 流れているからきれい。栄養たっぷり→止まる→アオコが発生。兵庫県一庫ダムのような実例がある。

■政治家はどう考えるのか?
民主党茨城1区 福島伸亨衆院議員

玉川:
「どう見てますか?」

福島:
「地元の人の理解を得られていない。これはおおきな問題」

玉川:
「民主党は公共事業に関して必要性はあったとしても不要不急、急がなくていいものは急がないんだというマニフェストを出してます。これはどうでしょう?」

福島:
「これはうってつけのモデルケースだと思う。八ツ場ダムは地元の方もいろんな想いがおありだと思いますけど、ここに関しては多くの地元住民がおかしいと思っているわけです。計画があるからやるというのではなくて、着工しているものであっても冷静に見なければならない」

玉川:
「管轄は国土交通省ですが前原大臣とは話はしてますか?」

福島:
「きちんと話を聞いた上で判断したい」ということでありますので
ぜひこれから聞いていただきたいと思っています」

~スタジオ~
東ちづる:
「自然環境もライフスタイルも変わってきているわけですよね。
人工の手が入って生態系を壊した例が沢山あるんでしょう?
私たちは学習して、反省して考え直さなきゃいけない時期に来てますよね」

珠緒ちゃん:
「東京も大阪も浄水技術が上がって水がおいしくなっていると。
霞が裏自体の浄水場を整備する方が水をきれいにすることができるじゃないですか?」

玉川:
「流域の方もおっしゃってるわけです。霞ヶ浦が汚れているのであれば霞ヶ浦で何とかしなきゃいけないんじゃないの?本当は?」

鳥越:
「この事業費は一般会計で出てるんですか?」

玉川:
「特別会計ですよ。治水特会です」

珠緒ちゃん:
「どれくらい使ってどれくらい進んでるんですか?」

玉川:
「7割が未完成です。1450億円くらいはもう使ってるんです。残りは予算内でできるといってるんですけど、今までのダムとかのことを考えると収まるかなぁと」

鳥越:
「特別会計のこういうものを止めないと変わっていかない。これはテストケースだから新政権で必ず止めないと」

やくみつる:
「流れこんでいる56本の川の上流をきれいにする方がそもそも論的な気がしますよね」

鳥越:
「八ツ場ダムが止まるならここは止まるわ」

珠緒ちゃん:
「地元の人はほとんど中止して欲しいということですか?

玉川:「そう聞いてます」