採算度外視の空港乱立 JAL経営危機で浮上 赤字路線の一因
空港整備勘定を原資に進められてきた新規の空港建設
国内の空港の数97 その大部分が赤字
「空港を作れば航空機を飛ばさないと意味がない。
利用者がいなくてもANAとかJALは飛ばさざるを得ない、
政治的な圧力がかかったり行政的な指導が入ったりしていた。」
■ずさんな空港計画 需要予測の半分以下
富士山静岡空港
総工費1900億円かけ今年6月開港した。
しかし、経営再建中の日本航空から2011年までに全面撤退を宣告される。
地権者:
「そもそも空港そのものの必要性さえも大きな需要予測をたてて、
たとえばハワイにもグアムにも飛ぶというように誤解させて空港建設をすすめてきた。
『赤字にはならない』と言ってきた。開港して現実は明らかに。
県民をあざむいて強引にすすめてきた。土地を奪われてふたを開けてみたら結局このザマかという話。ずっと反対してきた結果が今現実に起きている。」
年間106万人の需要予測をたてていた静岡空港
今年8月の搭乗者数約4万6000人 年間50万人ペース。
「この場所はそもそも県内に5つも新幹線の駅があって第二東名もう近々できるというような状況で、ここに2000億円かけて空港を造る意味は当初からまったくなかったと思います。」
そんな静岡空港の建設にも使われたのが
『空港整備勘定』
航空関連のインフラ整備や維持管理などを目的として支出される特別会計。
「これだけ沢山空港が造れたのはまさに空港整備勘定があったから。航空会社から着陸料や航空機燃料税などの税金をとって空港をどんどん造ってきた。」
昭和45年、当時増加しつつあった航空需要を満たすために「空港整備特別会計」として設置。
「均衡ある国土の発展」をスローガンに公共投資による地域格差の是正が図られた。
中曽根総理の時代、地方空港の建設はさらに加速。
日米構造会議で内需拡大だとアメリカに言われて、国内消費、投資、公共投資、を増やす。「一県一空港」といわれた。
日米貿易不均衡を緩和する内需拡大の手段の一つとしても利用された国内空港建設。
茨城空港が来年3月開港予定。
総工費540億円
最後の地方空港といわれる
需要予測
国内4路線(札幌、大阪、福岡、那覇)で81.7万人
現在、就航表明したのは韓国のアシアナ航空(1日1往復)のみ。
当初の需要予測を大きく下回るのは避けられない状況。
茨城県民の声
・「羽田は近いし、成田はあるし何本の路線が出るんだか、たった一つくらいでは造っても意味がないと思う。」
・「活性化になればいいですけど需要があるか。静岡空港の二の舞にならなきゃいいけど。」
・「誰か必要な人がいるんですかね? 利権にたかる人だけは必要かもしれません。
でもそれがあるから税金が増えるとか、負担が増えるとしたらそれは必要悪ですよね。」
赤字だらけの日本の航空行政。
97の内、75が赤字。
航空会社
空港使用料 航空機燃料税
↓ ↓
財政投融資・
雑収入など 一般会計
↓
空港整備勘定
↓
各空港 空港建設・整備など
中条潮:
「単年度でたまたま赤字になっているところがある。
そこだけ見て判断してはいけないが、無駄な空港は沢山ある。」
鳥越:
「地元住民、政治家が空港、新幹線、高速道路を欲しがる。
それに官僚が予算をつける。お財布があるから。」
中条:
「全部縦割りだから空港をあきらめたからといって、新幹線を増やしてもらえるわけではない。なんでも欲しいとなる。
Q.空港整備勘定はどうすべき?
中条:
「解体するべき。しかし、一般会計に組み込むのではなく、空港ごとの独立採算にする。離島のみ特別会計にする(ライフライン)。
最初からそうやっていたらこんなに空港はできない。
結局、これまでの羽田の利用者が負担してきたんですから。」
キッチュ:
「能登半島に輪島って駅があるんですけど駅の形だけで線路がないんです。
電車でいけないんですよ。そのあたりに能登空港っていうのがあって、飛行機では行くのに電車では行かれない。生活のためからするとものすごく矛盾している。
政治家の力がかかってるのかも知れないけど、ものすごく不健全なお金の使い方ですよね。」
井口:
「政権が変わって特別会計にもメスが入るかというところまで来ているので見守っていきたいですね。」
女子アナ(珠緒チャン夏休み):
「98番目の茨城空港はもうできあがってましたよねぇ。」
中条:
「いや、茨城空港はもっと前からあったんです。自衛隊との共用でそのまま利用すればムダはなかったんだけど、もう一本、滑走路造っちゃったんです。新しい空港を造ったのと同じになっちゃった。地元はお金を出さなくて済みますから。」