消費税増税? 無駄削減? 新報道2001 10.11

2009年度税収
46兆円見込みが40兆円を下回る可能性がある。

「OECDにおける財務拡大と調整 アレシナ、ベロッティ共著」

ハーバード大学 政治経済学教授アルベルト アレシナ
財政再建に取り組んだ先進20カ国を調査

その結果、増税優先の財政再建を目指したイタリア、スペイン、ギリシャより、徹底的に無駄を削減してから増税したイギリス、オーストラリア、フランスなどの方が長期間、財政の健全化を続けられた。

成功した国で言うとたとえば日本の80年代の財政再建
1973年 オイルショックによる不況10年。

増税なき財政再建を掲げ、国鉄、専売公社、電電公社解体に着手。
無駄削減に努めた。それに反応するように景気は回復傾向を辿り、バブルに突入。

1987~92年
近代日本においてプライマリーバランス、国の財政が黒字化したのはこの時期だけ。

1989年。そしてその時消費税が導入された。

■消費税増税? 無駄削減?

上山信一 慶応義塾大学教授:
「予算の削減、税にしてもフロー(流れ)の話なんですね。毎年どうやって繋いでいくか。実は日本経済の今の問題というのは成長前提になかなかできない。そうなるとそれまで蓄積したストックをどうするか。財政出動という議論をしてますけども借金だらけでなかなかできない現実がある。そうなるとどこにお金があるか。企業もあまりない、あっても海外投資に向いている。そうすると個人資産1500兆円ですね。これをどうやって活性化して市場に出していくのか。

過去無駄遣いをしたといいますが、膨大な社会インフラですね。水道、下水道、道路、空港、その他。これをちゃんと使わなくてはいけない。あるいは土地なんか売ってもいいわけですよね。借金はどうしようもない。個人は資産を持っていて、社会インフラのストックは山ほどある。これをどうやって動かすのかという方が大事ですね。

国民がお金を使わないのは将来が不安だから。老後、子供の教育費等。
民主党はすごくいい政策を出してますよね。大学の奨学金を出すとか高校無償化とか教育の面ではかなりいい政策出しているんだけど、それが将来の安心に繋がるという風なシナリオに繋がってない。

福祉もそうですね。老人ホームをバンバン造って、待機児童の解消と同じように待機老人の解消と。こういうもの絶対やりますといって全国何箇所に老人ホームをつくるとかですね。あるいは保育所をいっせいに造るとかですね。補正予算のダムは全部保育所に替えるとかですね。いわゆるコンクリートから人へというのをわかりやすく言っていただければ『ああそうなんだ』と財布の紐もゆるむし、新しい産業も出てくると思う。ゼネコンの代わりに介護施設をやろうとか。」

「成城石井」社長 大久保恒夫:
「消費が拡大しないと景気がよくならない。消費が拡大しないのは将来が不安だから。
年金、雇用、介護、医療みたいなものとワンセットにして消費税を議論するということであれば国民は納得できる。もっと積極的に消費税の議論は早くしていただきたい。」

津村啓介:
「順番が逆だと思うんです。
先ほど、政治はすべての政策を民間に介入してやるものではなく、環境をつくることだと。私もまったくそう思います。政治がやらなきゃいけないことは、方向を示すこと。メッセージを出すこと。こういう社会をつくりたいというビジョンを示すことが大変重要で、そういう意味で民主党の成長戦略というのは非常に明確だとおもうんですね。

それは個人消費を伸ばしていくこと。内需を拡大していくこと。そのために必要な2つの要素が安心と安定で、安定にコミットするために4年間消費税を増税しない、景気回復をきちっとコミットするということを強いメッセージとして出しているんで、ここをガタガタ『できれば早く上げたい』なんて言うとメッセージが不明確になる。」

江田憲司:
「そのワンセットについてはいいんですよ。欠けているのはどこかというと地域の産業を伸ばすというときに規制改革もあるだろうし、地域主権の工程表を示すこともあるだろうし、それから大きな金融政策も今、量的緩和を含めてどうしていくのかという、もう一つのワンセットがないんですよ。」